創業60年を迎えた指宿の老舗旅館「白水館」に昨年オープンした
「薩摩伝承館」を訪れる。
創業者と親子二代に渡る3000点ものコレクションを公開する施設。
またコレクションだけでなく、近代国家の礎を築いた薩摩の歴史と薩摩人を紹介する施設でもある。
外観は水盤に浮かぶ宇治の平等院を思わせる、日本の伝統的な社殿の様式。
直接的すぎる感もあるが、重厚感に溢れた外観は細部にわたって本物志向を貫いている。流石は竹中工務店の設計施工、ため息ものである。
内観は、外観の伝統的な様式から一変、モダンな造り。
建物中心は吹き抜けのホールで、演奏会等各種イベントスペースに使われる。細部の組子や欄干にもこだわりが感じられ、豪華な白薩摩の展示が空間を際立たせる。ガラスショーケースに陳列された従来の展示空間だけでなく、美術品本来の持つ意味を空間化した展示がすばらしい。